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須賀敦子さんのこと
須賀敦子全集 第7巻 (7) (河出文庫 す 4-8)須賀敦子全集 第7巻 (7) (河出文庫 す 4-8)
(2007/03)
須賀 敦子

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先週は、通勤の電車の中でずっと文庫の須賀敦子全集第7巻を読んでました。
この巻には、須賀さんがイタリアで編まれていた私家版の小冊子「どんぐりのたわごと」全15号と、
イタリア人のご主人を早くに亡くされた後、
ミラノで一人で暮らしていた頃に書かれていた日記が収められています。

「どんぐりのたわごと」はミラノから日本に遠く離れた知人友人に向けて送られていたもので、
須賀さんがこれぞと思ったヨーロッパの、主にカトリックに関する詩、論文を、
ご自身で訳されたものにご自分の考察を添えている内容が中心です。
中に、「こうちゃん」という須賀さん自作の優しい美しい詩物語も含まれています。
いわゆる今の「ブログ」の、手作りなアカデミックな内容のものという感じもします。

学術的な内容で難しいものも多かったけれど、読むほどに、
須賀さんが信仰というものにどれほど真摯に向かい合っていたかが伝わってきて
心を打たれます。

それは、学問として須賀さんが取り組んでいただけではなく、
幼い頃からの様々な感情や葛藤や、
結婚5年あまりでご主人を亡くされた悲しみや孤独があったからこそ、
いっそうそうだったのだと思う。

信仰とは、神さまの御心にかなった生き方をすることだと思います。
それは教会に属するとかキリスト教の学校を卒業するとか形式でなく、
クリスチャンではない人々の中にあっても、教会以外の街の生活の中であっても、
そのように常に心がけて生きること。

カトリック教育の下で育ち、ヨーロッパで宗教と文学を深く学び、
それでも閉鎖的な学者の世界に閉じこもることなく、
いつも信仰の中にありながら街の人、周囲の人々と溶け込んで接し生活していた様子が、
「ミラノ霧の風景」「コルシカ書店の仲間たち」「ヴェネツィアの宿」など、
須賀さんの数々のエッセイから伝わってきます。

解説を読んでいて、須賀さんの心の支えとなる存在の一つがシモーヌ・ヴェイユだったと聞いて
腑に落ちた気がしました。
シモーヌ・ヴェイユも、信仰を追求しながら決して教会に属さず、
自ら女工になって過酷な労働環境を体験した論文を書いたり、
スペイン戦争では国際義勇軍の一員として従軍したり行動し続けた人。

自分自身を振り返れば、生活や仕事に追われていて、
このような「真摯な心=よりよく生きようとする心」はどうしても忘れてしまいがち。
だから、こうして時折思い出さないといけない。
そんな気がして反省しました。

そのまっすぐな優しい強さにとても憧れる、須賀敦子さん。
亡くなられてちょうど10年目です。

須賀敦子―霧のむこうに (KAWADE夢ムック)須賀敦子―霧のむこうに (KAWADE夢ムック)
(1998/11)
不明

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